「安静にして」といわれた方は、なぜ禁忌?

妊娠中、「安静にして過ごしてください。」と言われる方がいます。

多くの場合は、切迫早産・切迫流産の方です。
「切迫」とは、早産(妊娠22w-36w)や流産(妊娠21w未満)になりかかった状態で、切迫の度合いにより入院安静になるか、子宮収縮を抑える薬を服用して、「自宅で安静に過ごしてください」となります。

この「安静に」のさじ加減が難しいところ。
その方の切迫の状態によっても異なるので、私たちセラピストが憶測でアドバイスはせずに、病院に聞いていただくように促します。(一般的には、外出は控える、家事は最小限にする、重いものは持たない、長風呂はしない、疲れたらすぐに横になる、というような感じだと思います)

切迫になるはっきりとした原因はわかっていないようです。

ハイリスク群としては、
  • 早産の既往症のある方
  • 喫煙
  • BMI18.5以下(やせ)
  • 長時間労働者
  • 重労働者
  • 多胎(双子、三つ子の妊娠)
などがあげられます。(日本産婦人科学会・産婦人科診療ガイドライン2014)
他にも、遺伝、体質、疲労、ストレスなども言われています。

また、多くに感染症である「絨毛膜羊膜炎」が見られて、子宮の出入口である子宮頸管が熟化(短くなる、開く)します。


さて、このような方は「トリートメント禁忌」となりますが、その理由はなぜでしょう。

「禁忌のツボを刺激してしまうかもしれないから」
「トリートメントで腰まわりが冷えてしまうかもしれないから」
「一部の精油に子宮収縮作用が含まれているから」
「トリートメントによって、子宮が収縮するから」

セラピストの方に伺うと、このようなお答えが多いです。

しかし最大の理由は、「セラピストのサロンまで出向くことがよくない」から、です。サロンまで、歩く、立つ、乗り物に座る、揺れるなどの姿勢と行動が、お腹に張りを生じて、よりいっそう熟化した子宮頸管に負担をかける懸念があります。二足歩行である人間は四つ足の動物よりも、負担がかかります。

ですから、「ツボ、冷え、精油、圧に気をつければ、トリートメントOK」という考え方は、ぜったいにしません。


禁忌の経穴(ツボ)、冷え、精油刺激と早産・流産の因果関係は、明確なエビデンスは確立されていません。しかし「研究の結果、否定された」のではなく、そもそも「エビデンスとして認められるほどの研究がされていない」から、「エビデンスが確立されていない」だけなので、刺激はしないようにします。

また、過度な強圧は、ストレスにより子宮を収縮させる危険性があります。妊娠中の強圧には「ルール」があります。


<まとめ「自宅安静」の方が禁忌の理由>
  • サロンまでの移動により、頸管に負担をかけるから。
  • 禁忌の経穴・精油による刺激、冷えが、影響するかもしれないから。
  • 誤った方法で強圧を入れることで、子宮収縮する危険性があるから。

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講座の帰り道

先週は、1月の産後アロマトリートメント講座、今週は、2月のマタニティアロマトリートメント講座でした。

どちらの講座も、遠くは山形、新潟、愛知などからもいらしていただきました。
また、産婦人科勤務のセラピストさんや、理学療法士、鍼灸師、エステ系、ロミロミ、タイ古式など、多様な職種のセラピストさんが集まり、よい時間を共有することができました。

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これは、産後講座のときの写真ですが、みなさんいい笑顔。
この後、足取り軽くおかえりなりました。

講座でお借りしているロハスムーンのある新宿御苑前駅から、新宿駅までは歩いても15分ほど。私はいつも歩いて通っています。

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ショーケースにはすでに春物の服が並んでいますが、いまだに先日の残雪がところどころにあり、ビル風は刺すように冷たい帰り道。

春はもうちょっと先ですね。

メディカルアロマセラピーを考える

「メディカルアロマセラピー」という言葉を聞くようになって幾久しいですが、いまだにその定義は「ふわふわ」した曖昧なものだと感じています。あえて意地悪く表現するなら「きらきら」したもの、とも言えるでしょうか。

まず、よく勘違いされてるのが、

  • イギリス式アロマセラピーがリラクゼーションや美の追求を主目的とするアロマなら、フランス式アロマテラピーは治療を目的としたメディカルアロマである(→アロマセラピーの位置付けはフランスもイギリスも一緒)
  • メディカルアロマは飲用や原液塗布する
  • 高品質な精油はメディカルグレードと呼ばれ、一般的な精油は雑貨扱いで品質が悪い(→そもそも精油にメディカルグレードという等級はない)

これらで語ることはできないと思います。


ではメディカルアロマセラピーとは?
おそらく、「アロマセラピーをメディカル(医療的)に活用して、疾病の治療や緩和を図る療法」を指しているのでしょうか。


しかし、実際の臨床の場において、アロマセラピーで治療をおこなうことはほとんどなされていません。
なぜなら、臨床研究による有効性と安全性がまだ十分に確立されていないからです。

医療現場は目の前で苦しんでいる患者さんを治すことが求められるので、「なんとなくいいかも」という動機でアロマセラピーを第一選択にはしません。

それに加えて、精油で治療するには、「オーガニック」「100%天然」ということよりも、人工的にでも効果的で安定した有効成分が精油中に入っていることが求められます。


では、そうなると、メディカルアロマセラピーとはいったい何なのでしょう。
それは、医療に足らないことを補う、「QOLの向上を担う療法」という位置付けが最適だと思います。

ともすると、臨床の場では病気や患部ばかりに目が行き、人を見る余裕がないことがあります。

例えば産婦人科なら、切迫早産で入院中の方には、子宮収縮抑制剤を点滴して、安静にするよう行動の制限もされます。早産にならないよう治療をすることが最優先なので、それに伴う妊婦さんの精神的な苦しみや不安感などは、どうしても二の次になります。

一方、アロマセラピーでは、切迫早産の治療はできませんが、そのような苦しみを緩和すること、ホリスティックに人を見ることは得意です。

ラベンダー・アングスティフォリアに含有されるリナロール、酢酸リナリルは抗不安作用に関与する薬理作用があることはよく知られています。副交感神経を刺激し、自発脳波のα派を増加して、誘発脳波では中枢神経系を抑制して、鎮静作用をもたらすと言われています。(*1)

アロマセラピーでQOLの向上を担うことで、間接的に切迫早産の治療効果を促します。
これこそが、メディカルアロマセラピーの真価を発揮するのだと思います。


参考文献
  • 梅津豊司(2010),エッセンシャルオイルの薬理と心 フレグランスジャーナル社
  • 鳥居伸一郎(2017)脳に効く香り フレグランスジャーナル社
  • 塩田清二(2012)香りはなぜ脳に効くのか NHK出版
  • (*1)ラベンダーの香りと神経機能に関する文献的研究(http://www.kansai.ac.jp/pdf/kuhs_kiyo_06/14_br_yurugi.pdf)

1月の講座

ブログの更新が滞っているうちに、1月ももう終わろうとしていることに、びっくり。

年が明けてから、館山への出張講座に続いて、大阪へもお邪魔しました。
移動の合間のわずかな時間に、道頓堀へ寄り道。

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東京にはない、このグイグイ推してくるエネルギッシュな感じに圧倒されました。
今度は、ゆっくり行きたいな。


そして、新宿御苑前での、1月度のマタニティアロマトリートメント講座も、とても楽しくでもみっちりとみんなで学んでいきました。

遠くは福岡や三重から、そして埼玉率の多い(笑)セラピストさんたちが集合。

皆さんに「妊産婦ケアに対する想い」を伺っているのですが、やはりダントツは「通われているお客様が妊娠して、お断りしなければならなかったことへの、申し訳なさ、悔しさ」をあげる方が多いです。


それから、産婦人科のアロマセラピールームでは、一時期のわーわーという(笑)てんてこ舞いな日々がちょっと落ち着きました。(とは言え、当日予約は取れないことは多々あるのですが・・)

厚労省によると、月別の出生率はさほどの動向はないですが、若干、7、8、9月が高く、3月が低い傾向があるようで、関係があるのかな、と思います。

このような時期は、切迫入院中の方などのケアをする時間がしっかり取れるので、貴重でもあります。

スクリーンショット  
妊娠中の姿勢、出産方法、産後の育児による筋肉の「コリ」の状態を評価して、必要なトリートメントをおこなうことを目指します。

プロフィール

マタニティセラピストスクール

原田 香

Author:原田 香
イギリスにてITECの国際資格を取得。さらに知識を深めるために、St. Mary's University(ロンドン) などで補完代替療法を2年に渡り学びました。

イギリスと日本のサロン・スパ、そして産婦人科・緩和病院などの医療機関で臨床を積み重ね、病院内のメディカルサロンの立ち上げ、外資系ホテルスパや自然派コスメブランドでのマタニティトリートメント導入にも携わっています。

これまで300名を超えるセラピストの方にマタニティトリートメントをお教えしてきました。リスクマネジメントを重んじ、安全を最優先にした、効果的なケアをお伝えしています。受講後に、産婦人科で活躍する方や妊産婦向けのサロンを営む方もたくさんいます。

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