「人は歩く生態系」Microbirthより

先日、ドゥーラ研究者でもある、筑波大学医学医療系の福澤利江子先生にお会いしに、実に30年ぶり(!)につくばまで行ってまいりました。

福澤先生の執筆されている「ドゥーラ研究室」は、学術的でありながら、人としての温かさにも溢れたコラムですので、ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思います。

ドゥーラ研究室(チャイルドリサーチネット)

そして今さらですが、つくばエクスプレスがあんなに便利な電車だとは知りませんでした!

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後日、福澤先生から、先生が翻訳されたDVDをいくつか送っていただきました。

じっくり落ち着いて観たかったので、なかなか時間が作れなかったのですが、昨日ようやくすべて観ることができました。

どれも非常に興味深かったのですが、
その中の「マイクロバース(Microbirth)」というドキュメンタリー作品。


(リンク先の"Buy HD"はクリックしないでくださいね!購入してしまいますから!)

以下、自分への健忘録を兼ねてまとめます。


人の体には、自身の細胞数の10倍もの多用な微生物(細菌・真菌・ウィルス)が生息していると言われています。

微生物は、皮膚、口、鼻、膣などあらゆるところに生息していますが、中でも近年、重要視されている腸に住む、腸内フローラ(腸内細菌叢=ビフィズス菌に代表される腸内に住む細菌類)は周知の通り。
免疫系の働きや、栄養・環境化学物質の分解、将来の生活習慣病や精神疾患など、ヒトの健康に多岐に渡って関連性が取り上げられています。


抗生物質の「アンチ(抗う)バイオティクス」に対比して、「プロ(共に)バイオティクス」とも呼ばれています。

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フローラの語源はラテン語の「花(flos)」。



では、そもそも人の体に住むこれら微生物はどこから来たのでしょう。

胎児は子宮の中では無菌状態と言われています。(最新の研究では、胎盤や子宮内に少数の細菌叢の可能性も示唆されています。)


まず、分娩が近づくと、主要な細菌種が乳房と膣内に集まってきます。(これってスゴイ!)

こちらのコラム(福岡伸一教授「生命浮遊」ソトコト)によると、
妊娠後期になると膣内分泌物のうち、グリコーゲンなど糖分の濃度が増えてきます。するとそれをエサとする乳酸菌やビフィズス菌が増殖します。これらの菌は代謝産物として乳酸を生産して、膣内を酸性化します。一般的な細菌は酸性が苦手なので、分娩時に病原菌の侵入を防ぐことができるのです。
<ここまで間接引用>


赤ちゃんは、産道である膣を通るとき、口や顔や身体中に、母体の微生物をたっぷりと浴びながら進んでいき、それらを自分の腸内に取り込んでいきます。私感ですが、近年は産後直後に "産湯につける" こともしないので、それもよい影響をもたらしている気がします。


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そして次のステップとして、母体と赤ちゃんの肌と肌を合わせた授乳に続きます。

赤ちゃんの腸内に撒き散らされたばかりの微生物に、母乳が必要なものを与えていくのです。(もうスゴイスゴイ!)

母乳成分に含まれるオリゴ糖は、赤ちゃんにとって消化のしにくい、不消化性の炭水化物なので、なぜあえて母乳に含まれているのか?という疑問がありました。
しかしそれは、腸内のビフィズス菌の栄養源になることがわかりました。善玉菌がエサにして増殖することで、未熟な腸内環境を整えていくのです。



DVDでは、産道を通らない帝王切開術についても触れられていました。

ニューヨーク大学のDr. マリア・グロリア・ドミンゲス・ベッロが、
切開術の1時間前にガーゼを膣に入れて、直前に取り出したもので、赤ちゃんの顔を撫でるという方法を紹介していました。

(これは日本では一般的な手法ではないです。
もしも帝王切開で出産された方がいらしたら、こちらでは「たとえ帝王切開で生まれた場合でも、その後の環境とのやりとりで徐々に腸内の乳酸菌やビフィズス菌は増勢してくる」と書かれていますので、不安にならないでくださいね。)


帝王切開により、たくさんの命が救われるようになったことの素晴らしさ、同時に安易に帝王切開を選択することへの警告、また陣痛促進剤を使用することが、この先、生物学的にどのような影響をもたらされていくのか想像がつかない、と学者たちが論じていました。


この作品の中で、
「ヒトは歩く生態系」と言われていましたが、まさにその通りだと思いました。

とても考えることの多い、すばらしい作品でした。

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プロフィール

マタニティセラピストスクール

原田 香

Author:原田 香
イギリスにてITECの国際資格を取得。さらに知識を深めるために、St. Mary's University(ロンドン) などで補完代替療法を2年に渡り学びました。

イギリスと日本のサロン・スパ、そして産婦人科・緩和病院などの医療機関で臨床を積み重ね、病院内のメディカルサロンの立ち上げ、外資系ホテルスパや自然派コスメブランドでのマタニティトリートメント導入にも携わっています。

これまで300名を超えるセラピストの方にマタニティトリートメントをお教えしてきました。リスクマネジメントを重んじ、安全を最優先にした、効果的なケアをお伝えしています。受講後に、産婦人科で活躍する方や妊産婦向けのサロンを営む方もたくさんいます。

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