妊娠中の岩盤浴は大丈夫?

受講生からの質問は、「マタニティセラピストスクール交流会」にてお答えしています。
ちょっと、長文なので、今回に限り、ブログで掲載します。


《質問》
原田先生、こんばんは。 一点質問がございます。 
妊婦さんは岩盤浴をすることは問題ないのでしょうか?? 身体を温めるという観点ではよいとは思うのですが、かなり汗をかくので、身体の水分濃度など??なにか注意点がございましたら教えていただきたいです。



《私の回答》
ひとまず、岩盤浴を温泉に置き換えてみます。

昭和55年の温泉法で、妊娠中の入浴と飲用は禁忌と定められましたが、これには科学的根拠がないと言うことで、平成26年7月に、環境省により「妊娠中は禁忌」という言葉が削除されました。


今、一部で不安の声が上がっているのが、ラジウム温泉です。
地中にある固体のラジウムが温泉水に溶け、気体のラドンに変化して湯けむりに漂った状態がラジウム温泉(またはラドン温泉)です。

ラジウム温泉は、免疫細胞を活性化する「ホルミシス効果」があると言われ、昔から湯治に利用されてきました。

ただ、ラジウム温泉は、別名「放射能泉」といいます。ラジウムが放射性物質だからです。あの、小学校の学級文庫の偉人伝に必ずあった、キュリー夫人が発見したものですね。



ちょっとキュリー夫人うんちく。
小学生向けの伝記本には載っていないですが、人目をひくほどの美貌の持ち主で、堅物だった夫のピエールもコロリとフォーリンラブ。彼女が里に帰ったあと、何通も求婚の手紙を送りつけて、ようやく結婚。その後二人で数々の功績を残したあと、ピエールは馬車にひかれて他界。

夫亡き後、今度は妻子ある男性との不倫に走って、それがスキャンダルとして広まり、同じ頃、科学アカデミーでの派閥争いにも巻き込まれ、デマや中傷を含めて、ヨーロッパ中から相当なバッシングを食らうんです。折しも2度目のノーベル賞受賞が決まっていたのですが、授賞式にも来るな、と言われてりして。
それをかばってあげたのがアインシュタインなんですね。

あ、横道にそれました。



そうそう。
妊娠中のラジウム温泉は影響ないのか、について。

結論から言うと、温泉場におけるラドン、ラジウムの放射能は妊婦にも禁忌ではないと言うのが、環境省の見解のようです。

放射能というと、原発で問題になっているセシウム、プルトニウムなどが思い浮かびますが、あれらは人工的に作られた元素で、放射線の種類、エネルギーの大きさ、体内への蓄積度合いが違います。

ラジウムなど自然界のあちこちに存在する放射性物質は、体内で神経細胞の過剰な活性を鎮めて神経痛などを和らげる働きがあるので、古くから温泉治療(湯治)などに利用されています。また2、3日で体外に放出されるのも特徴です。

ただ、当然ながら濃度や期間は重要で、高濃度で何年もその環境下にいるのは、影響を及ぼします。
キュリー夫人はラジウムを素手で取り扱ったり、ポケットに入れて運んだり、ラドンを防御マスクなく吸い込んだりを何十年もしていたために、白血病で亡くなりました。



で、ようやく、話を岩盤浴に戻します。

岩盤浴で、このラジウム温泉の効果を狙うために、ラジウム鉱石を使用した、「ラジウム岩盤浴」については、

★ホルミシス臨床研修所(理事・川嶋朗先生)
http://thar.jp/contents/qanda.html
Q7妊娠していますが大丈夫でしょうか?

★ベビカム相談室(元愛育病院院長・堀口貞夫先生による回答)
http://www.babycome.ne.jp/qa/id/583/
Q妊娠初期のラドン岩盤浴の影響は?


上記によると「問題ないでしょう」という見解です。


まあ、温泉に比べたら、空気中のラドンの濃度ははるかに低いでしょうからね。
成分そのものが、妊婦や胎児に悪い影響を与えることはない、というのが、現時点での主流となる考え方になると思います。

ただし、科学は日進月歩なので、来年にはその考え方が180度覆されるかもしれないことは念頭に置いておきます。




それから、ご質問の中の「汗をかくので、体の水分濃度など」に関して。


ご存知の通り、汗は、血液中の血漿で、その内のナトリウムやカリウムなどのミネラル分は血管に戻して、残りを汗として排出しています。要は、血液中の水分を外に出している感じです。

講座でもお話ししましたが、妊娠中は血漿の量が増加します。体温も高くなるので、妊娠中に汗をかくことは、とても自然なことです。

ところが、岩盤浴やサウナなど外的な要因で、強制的に汗をかくことで、血液中の水分が排出されてしまうと、白血球や血小板が相対的に増加して血液が凝固しやすく、粘度も高まるので、血栓症のリスクがさらに高まります。(血栓症については、講座のテキストの「深部静脈血栓症」を参照してください)

また、妊娠中はのぼせやすい状態にあるので、長時間血管が拡張されることで、さらにのぼせのリスクも上がります。



ようやく結論。
これらを踏まえて、妊娠中、岩盤浴は禁忌とは言えませんが、短めにほどほどに、ってことでしょうか。
あとは、とうぜんですが、体調が悪いときは行かない。


環境省が出している、「あんしん・あんぜんの温泉のいろは」は、温泉の楽しみ方をわかりやすく書いてあります。

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プロフィール

マタニティセラピストスクール

原田 香

Author:原田 香
イギリスにてITECの国際資格を取得。さらに知識を深めるために、St. Mary's University(ロンドン) などで補完代替療法を2年に渡り学びました。

イギリスと日本のサロン・スパ、そして産婦人科・緩和病院などの医療機関で臨床を積み重ね、病院内のメディカルサロンの立ち上げ、外資系ホテルスパや自然派コスメブランドでのマタニティトリートメント導入にも携わっています。

これまで300名を超えるセラピストの方にマタニティトリートメントをお教えしてきました。リスクマネジメントを重んじ、安全を最優先にした、効果的なケアをお伝えしています。受講後に、産婦人科で活躍する方や妊産婦向けのサロンを営む方もたくさんいます。

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