出産のときのアロマセラピー

Robert Tisserand著「精油の安全性ガイド2014版」

ロバート・ティスランド氏が膨大な文献・論文を調べてまとめ上げた、「エビデンスに基づく精油ガイド」です。参考文献一覧だけで、80ページ近くあることからも、この本の奥深さがわかります。

初版が1995年、日本語訳が翌年にフレグランスジャーナル社から出版されました。
そして、2014年に、改訂版というより新たな情報が満載のほぼ新刊(と言っていいぐらい)が出版されました。

残念ながら日本語版はまだ出版されておらず、私はイギリスで購入して持って帰ってきました。かなーり重かったです。

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「マタニティアロマトリートメント講座」での精油学では、この本のデータをベースにして、私のこれまでの臨床経験より、日本人妊婦に合わせたお話をしています。


この本の中で、出産(Childbirth)について書かれた章があります。IMG_1211.jpg 
よく、セラピストの方から、「出産のときはどの精油がいいですか?」という質問をいただきます。

とても答えに困る質問のひとつです。
何をもって「いい精油」なのか、出産時の精油使用に対して期待していること(分娩を進めたい、痛みを緩和したい、不安感をなくしたい、多幸感を得たい、思い出に残したい・・)はそれぞれ違うし、そもそも精油の選択にはその方のパーソナルヒストリーも重要になるからです。


ロバート・ティスランド氏は、その点を「子宮の収縮」という目的で書かれています。

To give some specifics, in ex vivo rat study, sweet fennel oil showed a dose-dependent reduction in the intensity of uterine contractions induced by either oxytocin or prostaglandin E2.
ex vivoでのラットにおける研究で、スイートフェンネルは、オキシトシン、プロスタグランディンいずれの子宮収縮剤の投与依存を減少させることを示した。
《用語説明》
ex vivo: 体外での研究(cf. in vivo: 試験管内での研究)

ただし、人間の妊婦さんにおいて、スイートフェンネルが陣痛を促進させるかはわかっていない。
However we know nothing about the clinical relevance of these findings to human childbirth.
Since there are no essential oils that have been found to stimulate uterine contractions, ・・(略)
しかし、我々はこの結果がヒトの妊婦にも臨床的に関連あるかはわかっていない。子宮収縮を刺激する精油は見つかっていないので・・
付け加えると、フェンネルはトランスアネトールを多く含有するので、妊娠中は禁忌の精油です。


また、イギリス・オックスフォード大学付属の John Radcliffe Hospital での8年間に及ぶ出産時のアロマセラピーの観察、研究についても書かれていました。

《使用した精油》
カモミールモロッコ、クラリセージ、ユーカリ、フランキンセンス、ジャスミンabs、ラベンダー、レモン、マンダリン、ペパーミント、ローズabs
※ケモタイプ、使用方法、濃度などは不明

どの精油がよかったという比較ではなく、上記の精油を使用した群と、使用しなかった群との比較で、使用した群では、不安感、痛み、頭痛、吐き気などが軽減されて、陣痛増強するという、分析データが得られたとのこと。


そして、この章の締めの言葉としては、
These studies suggest that the benefits of aromatherapy during labor outweigh risk, at least when administered under the supervision of a qualified health practitioner.
これらの研究により、医療の管理下で出産時に精油を使用すれば、リスクよりもベネフィット(利益)が勝る
とまとめられています。


これは、私の臨床経験上からの見解ですが、出産時の精油は産婦の嗜好で選択するのが一番だと思います。私たちが産婦人科で出産時に使用している精油については、こちらの小論で書かせていただいています。

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プロフィール

マタニティセラピストスクール

原田 香

Author:原田 香
イギリスにてITECの国際資格を取得。さらに知識を深めるために、St. Mary's University(ロンドン) などで補完代替療法を2年に渡り学びました。

イギリスと日本のサロン・スパ、そして産婦人科・緩和病院などの医療機関で臨床を積み重ね、病院内のメディカルサロンの立ち上げ、外資系ホテルスパや自然派コスメブランドでのマタニティトリートメント導入にも携わっています。

これまで300名を超えるセラピストの方にマタニティトリートメントをお教えしてきました。リスクマネジメントを重んじ、安全を最優先にした、効果的なケアをお伝えしています。受講後に、産婦人科で活躍する方や妊産婦向けのサロンを営む方もたくさんいます。

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